テキスト
10.04.28 「WEB連載はここで止まる」
10.04.28 「WEB連載はここで止まる」
WEB漫画連載をはじめても、以下のどれかの理由で止まってしまうことが多い。
(1)私生活が忙しく、漫画を描く時間・気力が残らない。
>WEB漫画描きは必ず私生活に邪魔される
アマチュアはプロと違って、漫画より私生活の方を優先せざるを得ない。 私生活にちょこちょこ邪魔されながら、どうやりくりして安定体制を築いていくかが重要になる。
(2)話が決まらない。
>話が決まらなければ絵も描けない
漫画作業の大半は作画だが、漫画はイラストと違い、ストーリーが決まらないと1ページも描けない。
毎週コンスタントに更新をする作家さんは絵を描くのも早いが、話を考えるのも早い。
超面白い話を作れても、考えるのに時間がかかるようでは安定連載は難しい。
(3)クオリティに納得できなくなる。
>厳しすぎるハードルはエターなる元
画質も作話も、自分の中でハードルをあげすぎてしまうと描けなくなる。自分に厳しい人の場合、
「こんなダメさでいいんだろうか…」
が適正値の場合もある。
(4)作業量が多すぎて嫌になる。
>画質の「見切り」
「1ページに思う存分時間をかけて最高の品質に仕上げる」
という戦法は成長すると聞くし、同人誌や投稿作ならいいけど、WEBではむしろ、
「一定以上の手間は絶対にかけない」
という「見切り」が安定連載につながる。「K」はトーンを使わない。
>小さく分割する
大きなページ数をいっぺんに上げようとすると負担になり、ペースが落ちる。解決策としては「小さく分割する」のが有効。「エッチマン」は、どんな重要なシーンでも、ややこしいシーンでも、1話8Pで必ず終わらせる。
(5)やる気がなくなる。
>1年連載すると…
連載をはじめるとあっという間に1年たってしまう。
1年がターニングポイントな感じ。1年間は元気に連載できるけど、2年目に入ると、
「これ永久に終わらないんじゃ…」
という気になってくるし、気も緩んで内容のラーメン化が加速していく。
僕の場合、ちょうど2年目に入った直後から更新が滞り、ラーメン化もはじまった(後述)。
ひとつの作品を1年以上連載するのはあまりオススメできないかもしれない。 しかし連載期間が短いと、面白くても知名度が高まりにくいという現実もある。「世界名作劇場」のように1年キッチリで1作終わるのも手かもしれない。
>週イチで休む
毎日毎日漫画を描き続けると、やる気がプツッと切れる時がある。やる気が切れると、ムリしてがんばった時ほど反動で描けなくなってしまう。週1〜2日は休みをとって、心身ともに冷却した方がいいかもしれない。
>コミュニケーションはホドホドに
WEBで長期間安定して描き続ける作家は、正体を明かさず、コミュニケーションもあまり取らないタイプが多い。
逆に、積極的に自分のことを語ったり、他の作家と積極的に交流を図る作家は、そっちが軌道に乗ってくると漫画を描かなくなってしまうことが多い。叩かれやすいともいえる。
(6)ラーメン化してしまう。
>考えながら描くとラーメン化する
自分の成長や読者の反応に合わせてストーリーを進化させるのは連載漫画の醍醐味だが、それをやると「ラーメン化」する。どんどんスケールが大きくなり、話も複雑になり、進みも遅くなり、終わらせることが困難になっていく。
そして、多くは投げてしまう。面白いWEB漫画は多いが、きれいに終わったWEB漫画は数えるほどしかない。
>ラーメン化してしまった場合の終了法
問題が複雑、もしくは先が見通せないからどう動いていいのかわからなくなる。 話を終わりまで決めて、最後までシナリオに起こしてしまえば、問題は単純になるし見通しも利く。 あとは描きさえすれば確実に終わりに近づいていく。
■ 1年目は良かったが…
1年目は、更新ペース的にも内容的にもわりと激しくてグッド。
しかし2年目以降、更新も1/3ペースだし内容もダレ場が続いている。
3年目でちょっと盛り返したけど、また更新断絶してしまった。
「オフ会のあたりはよかったけど、それ以降劣化した」
と言われて、
「いや、今のほうが1話あたりのクオリティ増してるじゃん!」
と思ったが、こうしてみると、そう言われても仕方ないかもしれない…
■ 新しい実験をはじめると連載が止まる
自分の場合、新しいことを始めると連載が止まる。実験は現連載をキッチリ終わらせてからやるべき。
■ 月産枚数
月産平均は、
年ごとだと、
■ 「端役」で困った
漫画を描いていると、端役が必要な場面がしばしばある。同人王だと、肉便器先生を最初に描いた時に「アシスタント1号」役が必要になった。
同人王では、「端役に困ったら版権キャラ」という手抜き・兼・パロディでしのいでいるが、クロミのようにメインキャラになってしまう例もあるので、あまりオススメはできない。
端役が必要な場面では手が止まりやすい。 解決策としては、小池一夫先生おっしゃるように、「キャラ作り」を日課にして、毎日コツコツとキャラを作ってストックしておくのが有効なのかもしれない。
■ 一定のペースでロングライドを
WEB漫画の場合、「短期間すごく頑張る」ことにあまり意味はない。 長期間ホドホドの漫画を上げ続けた方が人気の面でも成長の面でもよい結果をもたらす。
■ 「望み」という足かせ
シンプルな問題は解きやすいが、ちょっと複雑になるととたんに難しくなる。
漫画を描き続けるだけならさほど難しくないが、
「いいものを描こう」
「上手くなろう」
「成功しよう」
と考えると、描くのが難しくなり、安定して描きづらくなる。
安定して描けないとこれらの望みも満たせない。向上心が逆に足かせになることもある。
■ 平均月産10ページ
同人王の平均月産は約10ページ。僕にとって月10ページなど楽勝。調子がよければ一週間で描ける。
だが実際は、死ぬ思いでやっとこの数字になっている。ひと月30ページ描けても、1年間毎月12ページ描き続けるのは難しい。
次に連載を描くならば、「安定更新」を最優先課題に、以下の工夫をやってみたい。
※あるいは4コマを連載する。